梅垣の帯展

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西陣は織物業者の集まる地域の総称ですが、一部袋物や金襴などの業者を除いて、特に最大

の品目である帯の生産が減る一方となってします。その生産状況は危機的とも言えます。

そんな中でも必死に、上質な上品な作品を作り続けておられる梅垣さんは小さな織屋さんとは言え、西陣を代表する存在です。

特に高級な引き箔のフォーマル用の帯は、その品質だけでなく、重厚で、品格が高く他社の追随を許しません。

まさに西陣の良心ともいうべき梅垣さんが残っていかなければ、西陣のものづくりは一段と低級化してしまうでしょう。

より多くの方に梅垣さんのこだわりを分かっていただきたく、今年も梅垣さんの作品展を店内で開催します。

 4月13日(木)~23日(日) 19日(水)は定休日です。

いつものことですが、出来ればご来店の日時をあらかじめお知らせいただければ幸いです。

近年力を入れておられる、カラオリヌーボという、上品な洒落帯の新作や、いまではもう織ることが出来ない、再高級の作品などを是非ご鑑賞ください。

振袖の見極め

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最近振袖をお探しの方がおいでになるのですが、泰三の振袖の良さはよくご理解いただいても、少し値が張りますので、予算に合わなくて断念される方が多いのも確かです。
実際大体100万円まででお探しの方が多いのですが、泰三の振袖は世界に1枚キリの手作りですし、時間もかかりますので、どうしても高価なものとなってしまいます。
手描き友禅でも、本友禅、つまり糸目糊置きをしたものだと、柄の重さなどにもよりますが、現在の業界の正常な流通をもってしても、100万円以内での販売は、新規生産のものでは難しいのです。
それでは100万円以内でどんなものがあるかと探すとなかなか気に入ったものがないと言われます。
染のキモノは大きく言うと二種類あります。
1つは手描き友禅、もう1つが型染です。
手描き友禅の中には、すべて手作業だけのものと、糸め糊置きを型で代用するものがあります。糊を型で置いて、挿し友禅は手でするものです。
見た目は本友禅と変わりませんが、型を作る分同じものを何枚も染めますので、価格が下がります。とはいってもそれにも色々差がありますし、その良し悪しはよほど友禅のことをご存じでなければわからないでしょうし、今どきの経験の浅い売り手では理解できないと思います。
型染はもっと色々な製法がありますので、その価格差を正しく説明できる人は少ないでしょう。当然消費者はもっと混乱すると思います。
まあ簡単に言えば、チェーン店などで売っているフルセット20万円とか30万円で販売されているものは、生地ペラペラのすべてほとんどインクジェットプリンターを使ったものです。これも広義にいえば型染と言えます。
近年は染料を直接吹き付けるものがあるので、製法を言わなければわからないものもあります。
だからと言って高い値で売りつけるというのはどうかと思いますね。
型染は本来手で型を送りながら染めていくのですが、できあがりが機械染のものとあまり変わらないため、どんどん業者も減り、職人さんもいなくなってきました。
型染は捺染というのですが、捺染に関してはインクジェットやロール捺染という機械染めが主流となり、手捺染の業者自身がインクジェット染めをしています。
型染は基本的に数をつくりますので、同じものが日本中に出回りますし、その間の流通業者の軒数や程度によって、価格も相当に幅があることは確かなのです。
ですから、消費者もどこがリーズナブルな価格でまじめに商っているかも分からず、迷いに迷って当店に相談におみえになる方もおられます。
デパートは比較的真面目な価格だとかつては言っていましたが、最近のデパートdンやの値付けも必要以上に高く思えますし、必ずしもリーズナブルだとは最近は思えません。
娘の振袖を予算百万円で買うという人は今どき貴重な存在ですが、その人たちが納得できるセンス、質、価格のものがないというのは残念なことです。
皆さん泰三の振袖は買いたいけれどと言われますので、何とか100万円以内で売れるようなものを作ろうと思ったりもしますが、今のつくり方であ、少し無理がありますので、どうしても手を落としたものを作らざるを得ません。
ただそれでは多分中途半端でお気に召さないと思います。
泰三のものでなくてもどうしても私どものアドバイスしてもらいたいという方もおられるので、その時は私がこれならと思うものをお世話していただくこともござおます。
仮に同じものがどこかにあるかもしれませんが、私のアドバイスなら安心だと申されるのです。
そのように思っていただけるのは有り難いとはいえ、真面目な呉服屋さんにたどりつかないということが一番の問題なのだろうと思います。
今申し上げたように型友禅の値段などというのは本来メーカーが希望小売価格を設定していないことが市場が混乱する原因であることは間違いないのですが、設定されると旨味がないなどと思う業者の声に引きずられいまだに実現できません。
とりあえずお分かりにならなければ何でもご相談ください

正統とは

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忙しさに取り紛れ。少し投稿がお留守になっておりました。

キモノ業界はまあこれといって良い話もなく、大手着付けチェーン店が倒産するとか、銀座の比較的大きな店が閉店するなど、ろくでもない話ばかりが飛び交っています。

産地の苦境を理解しない流通業、リスクを張らない小売店などは衰退の一途ですし、
これからも本物志向で物づくりをして行きたいものに取っては茨の道です。

いまや歌手の名で作られたいったいどこに着ていくのか分からないような、それもペラペラの生地に超安物の加工がしてあるものを高い値で売るような業界です。
売れれば、儲かれば何でもありの業界に成り果て、本物が肩身の狭い思いをしています。

正統派のキモノと言うのは何なのでしょうか。
正しく決まり事を伝えていくとということは、何が正しくて何が間違っているかということが分る人には通じる話ですが、もの知らずの人に取っては、まさに何でもありで、感性だけで衝動買いをしますし、正統派と言っても何がそうなのか分りません。

売る側も分からなくなれば、益々そういうことになって、キモノという形をしていたら何でもありということになると思います。

これはすべての物事に言えると思います。

昔ならこんなことあり得ないということが、政治の世界でも横行していて、しつけが悪いのか、行儀は悪いし、学識、見識、教養も無く、まあ時代が変わったというより、安物男が激増してどうし様もありません。

正当に伝統を引き継ぐものがいなくなれば日本も終わります。

とは言うもののそれが正しいと思う我々はそれなりの信念を持って仕事をして行かねばならないと思っています。いつまで出来るかはわかりませんが。

ターニングポイント

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色無地のお誂えの会を開催中でしたので、すこし投稿がお留守になっておりました。

今月も初めてのお客様がお見えになってご注文頂いておりますし、小さな店としてもこうし

た情報発信の大切さ、その効果を享受いたしております。

先日もある老舗呉服店の周年の大きな記念展示会があって、色々モノも揃うだろうから

そのことを私もSNS等で投稿させてもらおうと思ったら、そのお店のHPには案内が掲載されていなかったので辞めましたが、今までもお客への案内だけのようですので、新規のお客獲得に良い機会なのにもったいない話です。

どんなお客が来られるかわか分からないですが、それを恐れていては新規客は取れません。

お客の世代交代に合わせて適宜対応するためにも、やはり情報発信は怠りなくしなければなりませんね。

ところで先日来も産地の色々な情報を聞いたのですが、生産は落ちる一方かつ高齢化という流れに歯止めがかからず、

職人さんの平均年齢が70歳に近いという状況ですから、ハッキリ言って、もう後継者育成が可能な時期を過ぎてしまっているような気がします。

教えるのは体力が要りますし、高齢になるとそれがしんどくなります。

弟子を取るには年を取りすぎたということと、食わせる自信がないということでしょう。

若い人の参入が無いと、確実に高齢化がますます進み、健康上の問題が一番大きいのですが、あるところから堰を切ったように現場を去って行くでしょう。

大変残念ながら手遅れ状態のような気がします。

できるだけ延命を図って奇跡を待つとはいっても、需要自体がまだ細っていくのであれば、奇跡もおきません。

過日もある大手の着付けチェーン店の経営不安がささやかれていますが、着付けチェーン店というのは実は小売り業者であって、そこに納めているものは心配しております。

レンタル店は、特に観光地好調で、インバウンド需要で伸びています。

写真館などは競争が激化していて、収益は下がっていますが、それでもキモノを売っている店よりは好調のようです

今後もそういう動きが拡大すれば、モノづくりの未来は、インクジェット全盛となり、我々のような業者は食べていけなくて辞めていくことでしょう。

何とかしなければという思いと、もうここまで来たら仕方が無いという開き直りが相半ばしている状態のような気がします。

何とか質の良いものの需要を拡大することに尽きるのですし、頑張らねばとは思いますが、私自身の消費期限もそろそろかなという思いもするこの頃です。


西陣産地の未来

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私は若いころから西陣の連中との付き合いがあって、染の仕事をしていながらも西陣の織物産業について、比較的昔からよく知っているほうだと思います。
京都はキモノと帯の一大生産地でありながら、友禅業界と西陣の織物業界との付き合いは希薄です。

私はいつもそれぞれバラバラにモノづくりをしている状況をおかしなことだと思っていたものです。

キモノと帯は一体ですし、どちらが勝つとか負けるという問題ではありませんが、西陣の人たちは当社のキモノが立派過ぎて帯が負けるだとか、帯のほうが立派でないと行けないなどまことにナンセンスなことを言う人が多くて呆れたものです。

キモノ姿を前から見ると当然裾模様に目が行き、帯の腹のところをよく見る人は少ないでしょう。後ろ姿は逆に帯のお太鼓が注目されますので、まさに表裏一体なのです。

当然キモノのことを知って帯も作るべきですし、キモノを作るものもそれに合う帯のことも考えるべきなのです。

ところが今でも西陣産地は、なかなか融和しません。まあ組合の理事長が原因でもあるのですが、西陣のものづくりは実は大変危機的でもあります。

ご存じかと思いますが、西陣という名前は織物業者が集まっている地域全体の漠然とした総称で、どこからどこまでが西陣ということは地図上どこにも書いてありません。

応仁の乱で山名宗全の西の陣が張られていたあたりに、織物業者が多く集まったという史実から、西陣といえば織物業者の総称でもあります。

西陣は帯だけでは無く、織のキモノ、ネクタイ、金襴、袋物などの織物製品を作るところが集まっているところですが、かつて私の若いころは正にガチャ万といわれる時代で、西陣は大儲けをしたところが多く、納税額のトップを競っていたような状況でした。

猛烈な受注があり、多ければ帯でも1つの柄で1000本も売れた時があります。当時京都でも一番良い仕事の一つで、織屋の代表者は、100%生まれ変わったらまたこの仕事がやりたいといわれていました。

ところが今から20年くらい前から、急激に消費が減退し、西陣で作られた帯を扱う専門の有名な問屋が、まさに堰を切ったように連続倒産し、メーカーは多大な被害とともに、売り先を失い、物凄い勢いで産地が疲弊しはじめ、メーカの倒産廃業が続きました。

織物のことを書き始めるとまた長くなりますが、要は型友禅と同じで、最初の型を作るのにお金はかかるけれど、数が売れたらドンドン儲かるという構造ですので、その数が売れなくなってきて、皆困ったわけです。

今では織屋の主人のほとんどすべては二度とこの商いはしたくないといっています。

最近の統計では、西陣産地全体の織物出荷額は最盛期の5%ほどになっていて好調なのは、お守り袋などをつくる袋もの屋だけだそうです。

帯だけで見ると多分最盛期の3%強くらいまで落ちていて、かつて2000以上の業者がいたのが稼働しているのは100社ほどで現実に生産を続けているのはその半分くらいだろうといわれています。

良く売れていた時代は、帯も西陣界隈でほぼ全量作っていて、あちこちから織機の音がうるさいほどに聞えていました。

多くは専属の工場をつくり、内製化していたのですが、生産量が急激に減り始めて、自家工場での生産が、非常にコスト高になり、持ちこたえることが出来ないという理由で、ほとんどの織屋が出機(外部の賃機屋に頼む)で生産するようになってきました。

発注して分だけその加工賃を支払うということですので、リスクは小さくなります。

そしてその最大の出機の存在地が丹後地方なのです。

昨年の秋、京丹後市が域内の織物業者の実態調査をして発表しているのですが、
その色々な数字を見て愕然としました。

丹後は白生地の一大生産地で、ほぼ色々な生地が織れるところです。

最盛期は組合統計でほぼ1000万反の生産がありましたが、昨年は31万反まで下がっています。

まさにそのこと自体も壊滅的な状況ですが、その統計を見ると、実は丹後地方の機の8割ほどが先染めの物を織っているということです。

先染めとは糸を先に染めたもので、それはまさしく帯であり、織のキモノなのです。

そしてその最大の発注先が西陣なのです。

白生地生産が極端に落ちて来たときに、その織機は帯を織ることが可能でしたので、帯の賃機屋に転向した個人業者が多いのです。

実はすでに高齢化が進んでいて、相当に安い工賃で織らせていたという事実もあるのですが、それがここにきて一段と高齢者ばかりとなってきました。

今織物業に従事している人は1500人余りしかしません(かつては丹後地方一番の産業でしたがね)が、何とそのうちの7割以上が60歳代以上なのです。

全体の8割ほどは個人営業者で、後継者のあるところはほとんどないというのが本当です。

単純にそうした数字を見る限り、これから先10年ほどで、急激に現場を離れる人が増えていくでしょう。

西陣の帯、キモノを作る人がどんどんいなくなってしまうということです。

織りの帯やキモノは前段階の工程もたくさんあって、京友禅と同じく分業制でなり立っていますが、その最後に製織するところがなくなれば、前段階の職人さんにも仕事がまわりません。
現にそうした分業制の中で、あと2人しかいないとか、本当に危機的なのです。

20年前あたりから抜本的な施策が必要だったのですが、私は個人的には行政にもよく話したのですが、役人に危機感が無く、何の手も打てませんでしたし、現に今でも何をして良いのかわかっていません。

勿論目端の効く業者の中には、西陣でも生産地を色々なところに求めたり、丹後でも新業種を探ったり、努力はしていますが、若年労働者不足は否めず(結局食べられないから従事しないのですが)、丹後産地の危機というだけでなく、世界最高峰の織物文化を誇る西陣という歴史ある産地の未来が全く見えないということです。

分業制の産業構造は多くの人たちで支えていますので、自分だけが残れるということは無いのです。

ですから頑張ろうという人がある程度存在してくれない限り、その工程を守れません。

良い帯がなければ、良いキモノも売れませんし、作れません。

今のままなら確実に高級な帯づくりは止まってしまいます。

良いものがあれば今のうちにというのもキモノだけではありません。

西陣は友禅よりももっと深刻なのかも知れないのですが、どうなるのか予想がつきません。神のみぞ知るということでございましょうか。

その統計を貼っておきます。


丹後.pdf


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