文化のパトロン

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キモノは日本固有の文化であることはだれしも異存のないところです。

しかしコロナ騒ぎ以前にすでに全体の生産数量がインクジェットでの生産も含めて、最盛期、昭和46年(1971年)に比べて2%強まで落ち込んでいたのが、このコロナ騒ぎで多分1%を割り込んでいるだろうと予想され、特に本手描き友禅のキモノの生産は悲惨な状況でしょう。
心配するのは来年辺り引退や廃業が大幅に増え、友禅の分業制の生産体制に齟齬を来すような事が起きないかと心配です。
今年は異常とは言え、本手描き友禅の生産体制が続くにはそれだけの需要が必要であることは何時も申し上げているとおりです。

かつては富裕層が高級なキモノを間違いなく買っておられましたし、それに応えられるようようつくりても勉強しましたが、今はそうとはいえないし、叙勲で参内するときでも平気で貸し衣装の色留で済ます時代ですから、そういう人達がパトロンとはなりえず、結局キモノを買って頂ける方々すべてがパトロンと言うことです。

ですから益々売り手の存在が重要視されるのですが、売り手が素人の様な状況ですし、
また肝心の作るモノもこの先熟練の職人の引退で、かつてのような作品が作れないということも間違いないわけですから、いわば劣化する文化の継承は問題があります。
そんなことを最近悩むのです

12月の東京行き

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ここのところまた感染者が増えていて心配な状況ではありますが、私的な用事がいくつかあるので来月早々に東京に参ります。

12月6日に私が今お稽古している新内節の演奏会が6日にありますがご興味ある方は入場券がございますのでおっしゃってください。

今回は展示会は開催いたしませんが、個別の注文を承ります。
現在梅垣さんの帯の注文がございますのでそれにお応えするのはやぶさかではありません。

泰三のキモノや梅垣さんの帯以外でも私の目を通して探して貰いたいと思われるモノがありましたら遠慮無くお申し付けください。

11月15日はキモノの日

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随分前から、11月15日はきものの日ということにしようと言うことで
、七五三にご家族の方もキモノを着てくださいという運動をしている団体もあったのですが、肝心のこの日を決めた京都室町の大手問屋は何もしないので、いまいち全国的な広がりになっていません。
今年初めて廉価でのキモノの貸し出しなどが実施されたのですが、キモノを着て京都を歩きたいという願望は以前から観光客にも強くあるので、そのことがどれほどにキモノ振興に役立つか疑問です。
そんなことよりまずは業界人が率先してキモノを着る事でしょう。
キモノを着ない者がキモノを売るなどと言うことがあってはならないと思うのですが。

ところが現実には結構名のある問屋や専門店のトップがキモノを好きで商っているわけではないと嘯いたり、呆れた現実があります。

好きで商っていないからろくでもないものを作ったり流通させていて悲しくなります。

あるいはキモノ着付け教室がとんでもない値で初心者にろくでもないキモノを売りつけたり、およそキモノのファンを作ろうなどとさらさら思っていないことに腹が立ちますが、それが現実です。大体直ぐにローンを組もうというのは大した業者とは言えません。

消費者の可処分所得に合わせた商いをするべきだと思います。
毎年この日には同じ様なことを思い嘆いております。


見渡せば

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私がこの業界に入ったのは学校を卒業した昭和47年のことでした。
クラスメートが殆ど上場企業に就職する中、私は日本橋人形町にあった社員10数人程度の問屋に修業のため入社しました。

2年足らずの短い修業でしたが良きにつけ悪しきにつけ多くのことを教えて頂いたような気がします。

当時はキモノ業界はまだまだ盛業で、京都では基幹産業でしたし、私と同じ様な境遇で家業の後を継ぐ者も多く、勢い同年代の知人や友人も増えましたし、彼らとも酒食を共にする機会も多かったのです。

ところがバブル経済が弾けてキモノ業界も一方的な右下がり状態となって、甘い丼勘定経営を続けていたところは、平成10年くらいから、まるで毎日にように倒産が続き、そのなかにそうした知人もかなり存在してましたし、近年は健康上の問題で亡くなったり業界を去る人も多く、あるいは転業や廃業と言うことで、古くから付き合ってきた若旦那から社長になったような人がもう殆どいなくなってしまいました。

かく言う私もそうは前のようにアグレッシヴに仕事をしているわけではありませんが、まだまだ一応現役ですし、本当にそういう仲間がいなくなったことは残念残念至極なのです。
我々の世代は業界が勢いがあったときを知っているし、いわゆる良い物をたくさん見てきているだけに、そうしたベテランいなくなることは業界全体にとってもマイナスです。
以前なら息子などに継がせたら楽隠居でしたが、今は息子が心配なので辞められないと言う状況で、私のように後継者のない者が羨ましがられる始末です。
それは実はとんでもないことで、私が無能だから後継者を作れなかっただけの話しで、息子を後継者にさせることが出来た親こそ褒められるべきです。

ただ時には養子や婿に次がせるところもありますが、よほど正しく教育しないと育ちも違うので、中には全く教養がなく安物に走りその会社の特徴を壊し、業界をあげつらい、先人の築き上げた文化までを壊そうとする輩が出てきます。

近年キモノに目覚めた人も多いのですが、正しい伝統文化としてのきものに対する知識の無いままに、着始めた人が多く、それを逆手にとって、安物をとんでもない値で売りつけるような商いを何の衒いも無く続けているわけで、特に質が悪いのが着付け教室での販売で、初心者にいきなりローンを組ませたりして、当分キモノを買えなくしてしまいます。

そんな状況ですから私も広く世のためのアドバイザーとしても存在すべきだと最近つくづく思う次第です。

親の後継いで物づくりするなら、親より良いモノを作ろうと目指して欲しいし、安易に売れるであろうと思う道に入ったら先がないと思うべきです。

教養を身につけより高みを目指す若者がもっと出てきてほしいものだとつくづく思うこの頃です。

御礼

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第9回泰三の会も無事終了し新しいお客様も含め予定のお客様は全員お見えになりました。

私どものようにすでに店が無い訳ですが、泰三の作品や梅垣さんの帯のファンでいて下さる方々がまだまだおいでになりますし、今しばらくはそうした方々のためにも老骨に鞭打って頑張らねばならないと再認識させて頂きました。

名古屋や関西方面の方々のために京都でも展示会として販売会を開催させて頂こうかなと思案しております。

私や梅垣さんが目指すシンプルかつ華やかな感性を求める方々はまだまだ少なくないと思いますし、迷うことなく今までの感性を貫いていこうと考えています。

フォーマルにきものは全然売れないと言う人がいますが、それは作っているものが、消費者が求めている物とかけ離れているからでしょう。

需要としてはやはり祝いごとに着ていけるキモノが一番なのですが、洒落物の時代だと称して安物ばかりにひた走る輩がいますが、必ず失敗するでしょうね。

かつて程、加工度の重い豪華なきものは売れにくくとも、上品な訪問着代わりになる付け下げなどへの需要は少なくないと思いますが、それが分からない輩は違う物ばかりこしらえるので益々売れないのです。

私は20年前に製造小売りへ舵を切ったのでお客様の声が直接聞こえるのでどんなもの
どんな色をお好みかという事を物作りに反映させることができるのですが、今のオール委託で商う専門店などは、何を作れば売れるかということが分かっていないし、作り手も暗中模索なのです。

作り手と売り手が上手くかみ合っていないので、作り手のリスクばかりが増大し、物が作れなくなってしまいます。自分の仕事に命を掛けるつもりならもっと仕入れリスクを取って自分の好きなものを売るという姿勢にならなければと思いますし、それこそが専門店です。
作り手も自ら小売りをしないと食べていけないなどとよくぼやいて、私を羨ましそうに言いますが、本当にやるなら、それなりの戦術や作戦が要りますし、準備期間が必要です。
結局高級品の世界でSPAを敢行したのは私1人でしたが、20年前にいきなり始めたように思われていますが、その5年くらい前からアンテナショップを東京に出すことは計画していましたし、作り手が生き延びるための方策は確かに製造小売りですから、キモノ業界の諸悪根源の室町の大手問屋をすっ飛ばして流通の短絡化に是非チャレンジして欲しいものです。

私は私事で12月に東京に参りますので、もしかしたら年内最後の展示会を開催する事になるかも知れません。

大分冷え込んできましたのでコロナも心配ですが、お風邪召しませんようにご自愛下さい

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