きものサローネ

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キモノお好きな方ならきものサローネというイベントをご存知だと思いますが、毎年10月ごろ日本橋コレドやYUITOを舞台に開催されるのですが、私はいったい何のためにしているのかいつも疑問に思いますし、皆さんにお勧めしません。

本来はキモノの啓蒙活動の一環として始まったはずなのですが、手描き友禅などの上質なまともなものの展示が最近無くなってしまい。何が何だか分からない有様ですし、私は梅垣さんや西陣の知人が組合で出ているので表敬訪問でそこのコーナーだけ行っていましたが、あとは私としては見るべきものもなく、目が腐るので早々に退出しています。
今年は京都にいますので行くことはありませんが、なんと今年から有料になるそうで、
1000円出さないと入場できないそうです。

それと今までは会場費が無料で使わせてもらっていたようですが、来年からはそれができなくなるということで場所が変わるようです。聞いた話では有楽町の国際フォーラムだそうです。

有料になると当然行く人は極端に減るでしょうし、参加企業にも払わせるということで、つまり優待券が無いとのことですから、どうなるのか分かりません。

私はキモノにも当然いろいろあって良いし、インクジェットで制作するのも嘘をつかなければそれはそれでいいでしょうが、所謂本物が展示されないような会に初心者が行っても何の勉強にもなりませんし、真の啓蒙活動にはならないと思います。

本当に良いキモノを消費者が見る機会がどんどん少なくなっている現実に鑑みて、こうした会を有効に活用すれば良いと思っていたのですが、全く違う方向に向かっているので、こんなことを何度やってもキモノの消費が増えることはありません。

キモノがなぜ売れないのかということについて安物志向の連中はキモノは高すぎるから売れないんだとしかいいません。私とは範疇が違うし考え方も下品な連中が多いので付き合いませんが、そこそこ買える人にインクジェットンキモノを薦めても買われません。

たとえ高額でもそれに見合う質と、センスと、売り手の知識やコーディネーターとしての能力があればまだまだキモノは売れると思うのですが、そうした当たり前のことを当たり前にしていれば今のような苦境を迎えることもなかったかもしれません。

結局売れなくなるようなことばかりして消費者の信を失っているところが多く見られますし、売れなければ作れないわけですから、小売店の責任は大きいのです。

知識なき売り手など論外の話ですが、このことを業界あげて何とかしなければ本物は作れなくなっていきます。デパートのバイヤーと称する連中ももっと気合を入れて勉強して、消費者の求める良いものがないか足を棒にして探してほしいし、商品にもっとリスクを持たないと良いものはそろわないでしょう。

問屋を利用することばかり考えている小売店は必ず疲弊していきます。

小売、卸、メーカー そしてエンドユーザーがすべて喜びを共有できるような商いに早く戻ることを老婆心ながら期待しています。

東西名匠

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久しぶりに大阪高島屋に東西名匠老舗の会に行ってきました。

この会は歴史があり、春は東京日本橋、秋は大阪で合同の展示会を開催します。

京都の老舗をくれない会、東京を紫会と称し、髙島屋の名物展示会でした。

発足当時から売り上げ上位は呉服専門店、特に東京の店でした。
当社の得意先でもあったので大阪で開催される時には当時は毎年初日に挨拶に伺ったものです。

当時は大阪にも花柳界が現存し、料亭が置屋も兼ねて芸者を抱えていましたから、そうした女性たちも初日によく買いに来ていました。

1週間催事でも、結構いいものが売れていて売り上げ1位の店は確か3000万円を超えていたと思います。

ある意味良い時代でしたね、

ところがバブル経済がはじけてから、そうした呉服専門店が急速に陰りを見せ、何軒もが倒産したり脱退していきました。

今でも数軒古くからの呉服専門店も加盟していますが、相当に厳しいようです。

でも私が見たところはっきり言って買いたいと思わせるような素敵なものはほとんどありません。

かつては銀座の専門店筋がオリジナルのものを提案したり、それぞれの店にも個性があって、それなりに買いたいと思わせるものがあったように思いますが、今回見たところでは
そうしたものも見当たらず、問屋から借りてきたものをただならべているという感じです。

私は常々言うのですが、キモノが売れない売れないとぼやく人が多いですが、それなりに可処分所得の高い女性が、買いたいものがない、そういうものを置いている店が分からないと逆にぼやかれます。

こうしたミスマッチがなぜ起こるのかということにもっと真剣に取り組んで欲しいのですが、お金があって買える人たちの目線が分からなくなっているのでしょうな。

高級フォーマルはこれから売れないと勝手に決めつけ洒落着と称する、富裕層が買わないモノばかりをそろえて、そんなに余裕のない人にローンで売るなど呆れかえる所業です。

いくら言っても仕方ありませんが、売り手がもっとしっかりしないと良いモノづくりが全くできなくなります。

私は作り手を育てることも大事だが売り手の教育が急務の課題だと以前から申し上げていますが、予想通り本当にひどい状況です。

売れない小売り屋やデパートを相手するほど問屋も悠長ではありませんし、生き残りをかけてこの数年で色々な動きが出てくるでしょう。

そうでない座して死ぬを待つようなところが次々出てきます。

専門店が日本のためにも奮起して欲しいと口酸っぱく申し上げています

本物の持つ力

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過日東京で子供たちの前でキモノに親しむという演題で言わば授業をしてきました。

幼稚園児、小学生低学年、高学年と1時間ずつの3コマですが、大人に話すようにはいかないのでどのように進めようか悩みに悩んだのですが、子供たちが興味を持つのは動画や写真でしょうし、何よりも本物のキモノを見せるのが一番だと思い、
幼稚園児には当家にある子供用のキモノ、小学生には泰三の作品をいせるべく用意しました。

大日本蚕糸会が作成したDVDで繭から糸になるまでを説明して、糸からきものになるまで
を業界が作成したDVDを早回ししながら解説しようとしたら、そのDVDが使えない形式だとかでちょっと焦りましたが、以前から使っている画像を刷りだしたもので、かいつまんで説明をし、キモノ一枚がどれほどたくさんの人の手を渡って作られるかを分かってもらえたと思います。

頃合いを見て、実際にキモノを希望者に羽織ってもらうことにしました。
子供たちにはやはりワークショップ形式が理解しやすいだろうと思いますし、
今までの他の授業も、舞、鼓、太鼓、笛、茶道、長唄、三味線などなどのワークショップを取られています。


高学年の子に、泰三の最高級の振袖を簡易に着付けしてもらったのですが、目が輝き本当に嬉しそうでした。小さな子でもやはりその美しさはわかるのでしょうし、そうした振袖など普段全体見ることもできないし触ることもできないものを着られたという思い出はきっと大人になっても覚えていると信じます。

人の感性に訴える美の力は言葉や文字では説明ができないでしょうし、そうした感性を身に付けるのは、そうしたものに見たり触れたりすることです。

そういう意味でもこの子供たちは親に感謝することでしょう。有料で20回の文化に関わる授業を授けられるのは、きっと大人になったときにとてもいい影響を受けたことに気が付くでしょう。

振り袖姿を周りで見ていた子供たちもみんな綺麗だと感心していましたし、その子供たちにもなにがしかの思い出となってくれればと思います。

文化力を高めるには、もちろん学識があればあるほど良いには違いありませんが、机上の空論と同じで、それだけでは自分の生きた力つまり真の教養とはなりません。

本物に触れる、見るなど現場の力が重要です。
特に美しいものを見ることは大切ですね。

日本伝統文化に対しても小さなうちに色々触れておく大人になっても違和感なくそうしたものに積極的に触れるようになることでしょう。

泰三のキモノが世にいい影響を与えてくれるだろうと、作り手としては当然ですし、期待したいものです。


日本文化の啓蒙

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来週東京で着物についての話をするのですが、対象が小学生高学年、低学年、幼稚園児ということで、今までいろいろお話させてきた中で一番難しいと思いますし、いまだにどう話そうか悩んでいます。

子供たちに文化を教え伝えて行かないという思いから立ち上げられた文化教室で、能狂言、茶道、邦楽など日本の固有文化をワークショップ形式で学ばせようということで、私にある方からのご依頼があったわけです。その時点ではまだ店があったし、こんなに難しく考えていなかったので気軽に受けてしまったわけです。

ただ近年は親がキモノを着ない家も多く、和室もどうかするとない家が多いので、およそ和文化とは縁のない子供たちも多いわけですから、こうしたことで興味を持たせるというのは有意義です。

どちらかというと親にやらせたほうがいいのではないかという思いもしますが、小学生の頃にそうした体験をさせるのは後世にとてもいい影響を与える可能性があります。

私自信両親が歌舞伎が好きでしたから、小学生の頃から南座に歌舞伎を見に行っていたのを覚えていて、かつての名優、つまり以下活躍している人の父や祖父の舞台を結構見て来たので、大人になっても和文化へ特別な気構えなど全く必要なく、何でも受け入れてきました。

先斗町のお茶屋さんに小学生の時に上がったのをずっとおぼえていましたし、やはりそうした時期に親が何を子に与えるのかということが子供の成長に大きな影響を与えます。

要は親の趣味が子に伝わっていくことがやはり多いですから、今のような住環境やな茶道一つ知らない、キモノを着ないという家では日本文化を教えていくことは極めて難しいのが現実です。

そうしたことに危機感を覚えたこの教室の主催者が始められたわけで、親もやはり自分たちでは教えられないから、有料ですが年に20回もの色々な体験をさせようというこの教室に我が子を入れたのでしょう。


今の日本で最もだらしないのは秀逸な固有文化を日本人自身が良く知らないという、ありえないようなことを、何とも思わず年を重ねてきた大人が山ほどいて、その連中が人の上の立場でいるという噴飯物の現実です。

外務省の役人が日本文化を語れないだとか文化庁の役人も無芸大食だとか、情けない無教養な役人が激増したことは世界に恥ずべきことです。最高学府を出た連中がが次々と問題を起こしたりするのも、結局点取り虫教育ばかりで大学まで終わってしまい、人として大事な教養を身に付けるどころか、庶民の声も何も聞けないマザコンのまま官僚になったりするという憂慮すべき現状なのですが、政治家がもっともっと無知、無恥と来ているので全く改まりません。
世界からどんどんおいてけぼりになりながらも気が付かない超無能な政官の輩は今さえよければ良いのであって日本の歴史や文化をただしく認識できていないことも恥とも思っていません。

本来大学の間にでも自らの文化力を高める努力をすべきだったのですがそれもままならず、近年の外交力ゼロというのも相手国との交渉する力がなく教養が無いから言葉がなく説得することもできません。

次代を担う子供たちが是非とも日本文化に目を開き、昔の人が築き上げて来た大切なものを守り、次世代に伝えて行って欲しいと願っています。

自国の文化を理解しないのに他国のことはわかりません。

お互いを認め合い理解を深めるためには、より幅広い教養を積んで造詣を深めることが大切だと思いますし、世界に出て活躍するためにも日本のことをもっと知っておかねばなりませんね。


予想通り

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先日業界のモノづくりをする友人と話をしていたら、彼自身も健康上の大きな問題があったそうですが、その店の作品を作る大事な職人さんもほぼ70歳を超えて、健康を害する人が増え、何人も入院したり退院したり、と思ったらまた違う人が入院したり、要するに加齢による健康障害が大きな問題となってきました。

昔のようにたくさん仕事があれば責任感ややりがいで頑張れるのですが、あまりに仕事が少なく、しかも体調を壊すと、そろそろ仕事を上がろうという人が出てくるのは当然です。

難しい仕事をする気もなくなり、かつてできた仕事を断るとか、質も落ちていますし、各分業制の中で上物を作れる人があまりにも少なくかつ高齢化し後継者が無いというのが当たり前に言われる昨今です。

業者として継ぐ者が仮にあっても作り手がいなくなるのは必至です。
どこまで頑張れるかわかりませんが、今でもそうですがインクジェットでの生産が
当たり前となるので、リサイクル品の方が質の良いものがあるというのがこれまた当たり前になるでしょう。
そうしたことになると私は予想はしていましたが、どんどんそうした動きが加速すると考えられます。

何でこんなことになってしまったのかと今更反省したりあげつらったりしても
意味もないのですが、近年どんな世界でも同じで、反省もせず謝らず、改革もせず、同じことを続けます。

もちろん知恵のある人はそれなりにリスクを貼って独自の世界を構築しようと思っているようですが、極めてそういう人は少なく、断末魔を叫びながら多くの人が消えていくことになるでしょう。

私はずっとずっと以前から人と違った道を歩くことでやりがいを見つけられ、上物の生産を続けて来れ増したし、そのおかげで良いものを価値ある価格で提供でき、いわゆる三方良しを実現でき増したました。苦しかったけれど楽しく仕事をしてこれたし今もそうですが、早くに手を打ったことが奏功しています。

ただ近年日本は明らかに貧乏になってきて文化にお金を投じる、特に男が減り、いつも金儲けしか頭にないような輩が激増し、明らかに社会環境が変わってしまったとしか言いようがなく、この先のものづくりの支えとなるパトロンの存在があるかという不安も増し、
益々生産は細るでしょうが仕方ありません。

まあこの上はどこまでできるかは別にして、楽しんで作ったり売ったりしていければと思っています。
結局わずかな人の思いや力では大きく道を変えることは出来ませんし、なるようにしかならず、その状況を把握しながら変えられることは変えて行くということでしょうか

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